Only
私の求めた腕は、走り寄る私を優しく、強く、抱き締めてくれた。
その瞬間に、私は陽輔に会う前に抱いていた不安が溶けていくのがわかって、胸があったかくなった。
「……明衣。」
いつの間にかポロポロと涙を流して、この温かい思いが、感覚が出来るだけ長く続くことを祈っていた私の耳に私の名を呼ぶ低い声が届いた。
その声に、ただ彼の着ていたシャツをギュッと握ることで応えた。
それが今の私の精一杯だった。