Only
それからは、前にできなくなったことが嘘のように順調だった。
私は晃太の影が浮かぶこともなく、彼もまた、私を抱くことに戸惑いを見せなかった。

私達はこの日、何度も身体を重ねた。
それは幸福で、何も知らない私達の、じゃれあいのような行為だったとしても。

陽輔の肌が私の肌を這う。
陽輔の唇が私を高みへいざなう。
陽輔の手が私を惑わせる。

そんな夢のような時間と感覚と、快感は、まるで波のように迫って、
引いたと思ったらまた打ち寄せる。

そんな行為に没頭することになるなんて、想像したこともなかった。
こんな幸せがあることを始めて知った。

言葉はいらない。

ただ、あなたを感じさせて欲しい。



私はあなたに愛されているのだと、信じさせて。






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