Only
『君は、このままじゃ、世界から放り出されて、世界を放り出して、消えてしまう。そう思った。そんなの……悲しいじゃないか。きっと、世界は君が思っているより、綺麗なんだって、知ってほしかった。』

『世界は汚いよ。弱い奴は、生きていけない。神様に愛されなければ、生きていけない。』

いつも思ってた。
この世界で笑ってる人は、神様に愛されてるんだって。
なにもかもうまくいかない私は、きっと神様に嫌われてる。だから私は、この世界にいらない存在なのだと。

『神様に……?じゃあ、きっと俺も、嫌われてるな、神様に。』

晃太はそういって苦笑した。

『あんたは愛されてるよ。こんな、まともな生活してるんだから。』

綺麗で、家庭的な彼女、裕福ではないかもしれないが、温かい空間。
こんな生活ができるのだから。

『そんなわけ、ないでしょ。あんた、私のこと馬鹿にしてるんでしょ。寝るとこも、食べるものもなくて、人間以下の生活。家族だって、友人だって、私にはいない。なにも、ない。』
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