Only

晃太は、孤独の中から独り、這い上がってきた人間だった。強い人だった。私を、初めて理解してくれた人だった。狭い世界の中、私の『神様』は『親』だった。

親にすがって、でも愛されず、あがいていた。もがき苦しんでいた、哀れな自分。そんな私を、晃太はすぐにわかってくれた。

『自分で生きるんだ。誰かに頼るんじゃなく、自分で歩くんだ。そこから、君という存在が始まる。君が、君になる。』

私は、この時初めて、『希望』を知った気がした。私も、彼のようになりたいと、願った。まだ私は、世界で生きたいのだと思った。

『あんたは、私を……認めてくれるの？この世界に私はまだ、存在していると、信じてくれる？』

そう聞いた私に、晃太は近づいて、私を抱きしめてくれた。

『わかる？俺の体温。俺は、感じるよ。君の体温。君はここにいるよ。確かに存在していて、肩を震わせてる。君はここにいる。俺も、ここにいるよ。』

感じた体温が温かかった。私は初めて、温かい涙を流した。