Only





「……あぁ、そういうことか。」

彼がボソッと発した声に惹かれるように、もう一度彼をみた。

「……え?」

「ローマ字で『Kuroyume』か。漢字の名前の店ばかり捜してた。みつからないわけだな。……助かった。」

「あ……いえ。」

なんとかそれだけ返事すると、私はトイレに向かおうとした。

「……なぁ。」

すると彼に腕をそっと掴まれた。




心臓の『ドクン』という音が聞こえそうな気がした。


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