Only





『まさか、だよな。恋人を殺された女が、恋人を殺した犯人と愛し合ってる、なんて。』




「!!み、さき……なんで。」

『俺は見てるよ?お前のことなら、興味あるからね。俺とお前の仲じゃんか。』

「あれは。…あの時、」
『忘れたのかよ?お前、何をした?お前がいなければ、あの男は死ななかった。あの女だって、幸せに暮らしてた。』



俺が、いなければ。

そう。そうだ。俺がいなければ、明衣はきっとあの男と結婚し、幸せに暮らしていた。
自殺しようなんて、しなかったはずだ。

きっと、苦しむこともなかったはずだ。

でも、それでも、俺は。


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