Only






「あぁ!調べれば調べるほど、こいつが犯人な気がしてならないんだがなぁ。」

柴崎が武山岬の資料をバサリと机に放って呟く姿を横目でみながら、私は相槌を打つかのように頷いた。

「私も、そう思う。状況的に一番考えられるのは、どう考えても、武山。それに……。」

前に会ったときの、あの挑戦的な言動と態度。そしてなにより、あの瞳。

悪魔のような、恐ろしくなるほどの感覚を、あの瞳には感じた。
あの男ならきっと、人一人殺しても、血の海のなかで笑っているかもしれない。


陽輔の瞳は漆黒で、深いけれど、安心を与えてくれて、確かな優しさを感じることができるのに。
< 177 / 183 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop