Only




左手首には、私が自殺しようとしてできた傷が今も残っていた。




「………みた、の?」

「………死ぬな。」

私の問いには答えず、彼は一言、『死ぬな』とだけ呟いた。



「あなたには……関係ないことでしょう?」

実際、わからないのだ。
私が今生きているのは、夏海のおかげと……晃太を殺した犯人を憎む気持ち。

それらを失えば……いや、どちらかを失えば、私はまた、『死』を選ぶかもしれない。



「俺は……わかる。生きることが、大切だって。死にゆく人間を、みたくない。」

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