Only
この人もそうなら……何故この人は『生』を選んだのだろう?




「なぁ、あんた、名前は?」

彼の漆黒の瞳が私を捕らえた。




「明衣よ。佐山明衣。……あなたは?」



「……秋田陽輔。……明衣、か。」

彼は私の名前を呟くと、紙のコースターに何か書いて私に差し出した。




受け取って、見ると11桁の数字が並んでいた。



「生きてることを、報告しろ。」

そういってから、なぜか一瞬切なげな表情になった彼の心のなかはわからないけど、私はもう、自分がきっと彼に電話するだろうことを自覚していた。
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