Only
「サユ。余計なことは言わなくていい。」

けれど陽輔の口から発せられたのは、そんな冷たい言葉だった。

「お兄ちゃん……。そんな言い方しなくても。」

少し恐がっている小百合さんとは別に、私は陽輔の真っ黒な瞳が今までにないほど『孤独』の色に染まっている気がして心配になった。




「陽輔……大丈夫?」

「明衣。……あ、あぁ。……悪かった。」

私が陽輔の瞳を覗くと、彼の瞳は私を認識した。
それと同時にもとの優しさを帯びた光が少し戻ったような気がした。



「お兄ちゃん……?」

「サユ。明衣が困るようなことを言うなよ。俺たち、別に付き合ってるわけじゃないんだから。」

「え、そうなの?」

小百合さんが残念そうな顔をして、今度は私を見た。
判ってるけど、陽輔からはっきりそういわれるとやっぱりショックだ。


でもそんな感情を表に出すほど、もう子供ではない。
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