Only






その言葉を聞いたとたん、俺は手にしたティースプーンを落とした。

木製のテーブルに落下したそれは少しだけその存在を主張した。




………なんて、言った?

明衣が、警察官、だって?


「え~!初めて会いました、女性の警察官!素敵っ!かっこいいですね~。」

サユは先ほどの音には反応せず、話を続ける。


明衣は落ちたスプーンを一度見、俺を見た後、サユへと視線を戻した。


「かっこよくなんてないわよ。……私は自分勝手な理由で刑事になったんだから。」

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