Only
「……ねぇ、どうかした?」
明衣の声で我に返った時にはもうサユはいなかった。
遠い意識で、サユを見送った記憶がよみがえった。
『お邪魔してごめんなさい!明衣さん、またお話してくださいね!』
サユの言葉に、明衣は笑って頷いた。
「……なぁ、明衣。俺たちって、何なんだろうな。」
「……え?」
何なんだ。俺は、明衣が好きで。
明衣も同じ気持ちだって、わかってる。
でも、お互いに先に進めない事情があるってことだけがわかってる。