Only
「・・・お前、やっぱ最近、なんかあったんだな。」

柴崎は鋭い。
私の最近の様子を、私が何も話さなかったからといって、何も気がつかないような男ではない。

捜査でも、この鋭さが何度も犯人を動揺させ、混乱させた。



「大丈夫だよ。」

「お前の大丈夫ほど、大丈夫じゃないものはねぇ。何度言えばわかるんだ。」

「・・・大丈夫。」

私が頑固にそう言い張り、『何もたずねないで欲しい』ことを主張すると、彼はようやく、深いため息の後に頷いた。


「じゃぁ・・・いくぞ。」

彼の一言に、私は一度陽輔を頭から追いやり、前を向いた。



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