Only
「…………。」
誰かが、泣いてる。そんな気がして、俺は目を閉じ、考えた。
……明衣は、今も泣いているだろうか?
今の俺にできることは何もないけど。それでも、どうか。
―生きて。出来れば、幸せになって。―
そんなことを考えていた。俺は、幸せにはなれやしない。なってはいけない。
でも、明衣が幸せだったら、……俺の気持ちは、救われるから。
いつまでも、この胸に、彼女を。
この気持ちだけは許してくれ。
……もしも神がいるのなら、神に。俺は祈った。