婚約者が病弱な妹に恋をしたので、私は家を出ます。どうか、探さないでください。
明日、聞いてみよう。何かが起こるとしても、すべては明日なんだから。
◇◆◇
王家が開催する城の夜会は常に大々的に行われ、そこに参加する貴族たちも数多い。色とりどりの美しいドレスを纏った令嬢や夫人たちが、パートナーとなる紳士と共に入場する。
その相手は、大体が婚約者か、親族の誰か。
という訳で、私の隣には婚約者ラザール様が居た。
彼は黒髪を撫でつけて、いつもよりも落ち着いて見えた。近くに居る令嬢たちから熱い視線を向けられているけれど、気障っぽい仕草で私の手を取っていた。
そして、その隣に居る私は無表情で、ただ入場の時間が来るのを待っていた。
「君が夜会に行きたいと言い出すなんて……珍しいな。ミシェル」
夜会に行く時はラザール様の方から『仕事上どうしても外せない夜会なんだ』などど、私が誘われることが多かった。正直、お父様のエスコートの方が良かった。
けれど、ラザール様をここへ連れて来ることもジュストからの指示なので、それは飛ばせなかった。
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王家が開催する城の夜会は常に大々的に行われ、そこに参加する貴族たちも数多い。色とりどりの美しいドレスを纏った令嬢や夫人たちが、パートナーとなる紳士と共に入場する。
その相手は、大体が婚約者か、親族の誰か。
という訳で、私の隣には婚約者ラザール様が居た。
彼は黒髪を撫でつけて、いつもよりも落ち着いて見えた。近くに居る令嬢たちから熱い視線を向けられているけれど、気障っぽい仕草で私の手を取っていた。
そして、その隣に居る私は無表情で、ただ入場の時間が来るのを待っていた。
「君が夜会に行きたいと言い出すなんて……珍しいな。ミシェル」
夜会に行く時はラザール様の方から『仕事上どうしても外せない夜会なんだ』などど、私が誘われることが多かった。正直、お父様のエスコートの方が良かった。
けれど、ラザール様をここへ連れて来ることもジュストからの指示なので、それは飛ばせなかった。