婚約者が病弱な妹に恋をしたので、私は家を出ます。どうか、探さないでください。

16 隠し事

「……僕が何でこちらへ呼び出されたのか。あの男を見て理解致しました。陛下」

 臣下に連れられ現れたクロッシュ公爵令息ラザール様は苦々しくそう言い、悲しげに振舞うジュストを睨み付けた。そんな中、私は内心冷や汗をかいていた。

 確かに、国王陛下の言っていることはもっともなのだ。

 私側の意見だけではなく、ラザール様の言い分だって聞かなければならない。そうでなければ、公平な判断を下したとはとても言えないだろう。

 ジュストはここでラザール様が何を言い出すのか、事前にわかっているみたいだ。

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