婚約者が病弱な妹に恋をしたので、私は家を出ます。どうか、探さないでください。

17 甘い果実

「ラザール様の隠し子の件は置いておいて……ジュストってそういう王妃様の情報なんかを、何処で仕入れて来るの?」

 私がさっきから気になっていたことを聞くと、ジュストは唇に人差し指を当てた。

「……それは、内緒です。お嬢様。先程も申しました通り、この世に溢れる情報の中には、たまに光り輝く金塊のように価値を持つものもありますので」

 情報源を明かせない話は確かに聞いたけど、私がどうしても不思議になってしまうのは、護衛騎士として仕え自由になる時間がほぼない彼が、ここまで準備出来てしまったことだ。

 ……一体、何をどうしたら、ここまで出来たの?

「ジュストがこれまでに私に何も言ってくれなかったのは、今夜のことを恙(つつが)なく進行するためでしょう? もう今は、その必要はなくなったと思うけど」

 ジュストは私専属の護衛騎士だし、それこそ、朝から晩までずっと傍に居てくれたと言っても過言ではない。

 このために睡眠に充てる時間を使っていたというのなら、彼はどれだけの労力をそこに割いていたのだろう。

 ジュストは苦笑すると、隣に座っていた私と距離を縮めて、顔を傾け近付けた。

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