婚約者が病弱な妹に恋をしたので、私は家を出ます。どうか、探さないでください。
 想像だけでもわりと落ち着けたわ。ありがとう。ジョン。

「……その……ジュスト……っ」

 ドキドキし過ぎておかしくなりそうだから、もういっそのこと、この会話を終わらせて早くして欲しいんだけど!?

 そんなことを直接彼にいう訳にもいかず、私はなんと言うべきか悩んだ。

 皆……こういう時って、なんて言うの? もうそろそろ私たち……そういうことを始めた方が、良くないかしら?

 性行為を開始する合図なんかもあるのかしら? 私が知らないだけで。そういう便利なものも、もしかしたら。

「……僕が嫌になりました? けど、もう戻れませんけどね。ラザール様との婚約は解消されてしまいました。残念でしたね。ミシェル」

 初めて私を呼び捨てにしたジュストに驚いて、私は彼の顔をようやく見た。今まで見たこともないくらいに真顔になっていたジュスト、その目はとても真剣で……とても冗談を言えるような雰囲気でもなかった。

「ジュスト……? 何言ってるの。それは私が望んだことでしょう」

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