婚約者が病弱な妹に恋をしたので、私は家を出ます。どうか、探さないでください。
「いえ。オレリー様にとってはそれは屈辱的な診察になるかもしれませんが、処女か処女ではないかは、簡単に見分けがつきますので。申し訳ありませんが、僕も濡れ衣を着せられるのは迷惑です」

 淡々とそう言ったジュストは、オレリーがついた嘘を暴くための方法を考えていたらしい。

「……そうなの?」

「ええ。箱入り娘のミシェルは知らないと思いますが、女性には処女膜というものが……いえ。それは良いんです。ですが、そんな風にあれは簡単に証明出来る嘘です。どうしてオレリー様が、あんなことを言い出したかを考える方が良いかもしれません。でなければ、また何かで僕らの結婚を邪魔されてしまうかもしれませんし」

 確かに私にはジュストが何のことを言っているのかわからなかったけれど、嘘をついたオレリー本人だってすぐバレてしまう嘘だとわかっていたはずだ。

 けれど、これを言い出した。あの子には理由があった。

「私……ジュストには、これまでに言っていなかったけど」

「何ですか?」

 ジュストは言い辛そうに切り出した隣に座る私を見て、不思議そうにしている。

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