婚約者が病弱な妹に恋をしたので、私は家を出ます。どうか、探さないでください。
「私……オレリーが健康になれば良いって、ずっと願っていた。ずっとよ。貴女のことを自分の妹として、とても愛していたの。苦しそうにしている時は、自分も苦しくなるくらいにすごく辛かった。貴女のことを、心から愛していたから」

 私が我慢できずに涙を流していることに気が付き、オレリーはとても悲しそうな表情になった。

「オレリーが健康になれば、ずっと言いたかったことがあるの……ジュストのおかげで、今それが叶ったわ」

 ずっと言いたかった。けれど、運悪く病弱に産まれた妹には、これだけは言ってはいけないって思っていた。私は健康で運が良かった。だから、我慢しなくてはいけない。

 オレリーが儚くも亡くなってしまうか、オレリーが健康になるまで、ずっと。

「ミシェルお姉さま……」

 私はいつでも、何もかもオレリーに譲って来た。可哀想なオレリー。普通の子どもが楽しむようなことが何も出来ない。少し油断してしまえば、命がすぐに尽きてしまう。

 可哀想なオレリー……けれど、そんな妹に何もかも奪われてしまう私はどうなの……?

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