婚約者が病弱な妹に恋をしたので、私は家を出ます。どうか、探さないでください。
「オレリー。私も貴女も、健康よ。だから、今ここで姉妹として対等の立場で、物を言わせてもらうわ。私が持っている物を取らないで。もし、欲しいと思ったならば、お父様に自分の口でお願いして、同じものを買ってもらいなさい」

「はい。ごっ……ごめんなさい。お姉さま」

 大きなショックを受け震えているオレリーは、もし身体が弱いままなら倒れていたかもしれない。

 けれど、健康になった妹はこの程度で倒れたりしない。

 ……本当に、良かったわ。

「私の愛する人を、取らないで。ジュストは私と結ばれるために、これまでにどれだけの努力を重ねたと思うの? あの人は、私と結婚するの。絶対に貴女に譲ったりなんかしない。オレリーは自分で愛する人を見付けなさい。もっと健康になれば、誰にも甘やかしては貰えないわよ。一人でも生きていけるようになりなさい。私だって、もう甘やかさないわ」

「ミシェルお姉さま……そんな」

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