婚約者が病弱な妹に恋をしたので、私は家を出ます。どうか、探さないでください。
22 守る
廊下を少し進んだところで、ジュストは当たり前のような顔をして私を待っていた。
「……こんな場所に、居なくても……さっきの部屋で戻ってくるのを待っててくれれば良かったのに。ジュスト」
廊下を歩く私に肩を並べて、壁に凭れることもせずに立っていた彼も歩き出した。護衛騎士だったジュストは常に私の傍近く仕えるか、許される範囲の近い距離に居た。
……それが、彼の大事な仕事なのだと思っていたけれど。
「いえいえ。逆上したオレリー様が、ミシェルに襲い掛かったらどうするんです。僕のミシェルはとても優しいので、自分より弱いものには反撃できませんからね。念のため、助けがいるかと近くで耳を澄ませていました」
「……喧嘩はあの子が可哀想であった頃は、私はしてはいけないと思っていたの。ジュスト」
私が隣を歩く背の高いジュストを見上げてそう言えば、彼は何か聞きたそうな表情になった。けれど、聞かなかった。
詳しくは言いたくないことだと、察してくれたのだろう。
「どうやらオレリー様のことは解決出来たようで、何よりです。ミシェル。僕には兄弟は居ませんし、姉妹のことはお二人にしかわかりませんからね」
解決はした。妹オレリーは私に対し、これから我が侭を言うことはないだろう。
これまで何もかも許して来た姉が、もう無条件では許さないと、きっぱり宣言したのだから。
「……こんな場所に、居なくても……さっきの部屋で戻ってくるのを待っててくれれば良かったのに。ジュスト」
廊下を歩く私に肩を並べて、壁に凭れることもせずに立っていた彼も歩き出した。護衛騎士だったジュストは常に私の傍近く仕えるか、許される範囲の近い距離に居た。
……それが、彼の大事な仕事なのだと思っていたけれど。
「いえいえ。逆上したオレリー様が、ミシェルに襲い掛かったらどうするんです。僕のミシェルはとても優しいので、自分より弱いものには反撃できませんからね。念のため、助けがいるかと近くで耳を澄ませていました」
「……喧嘩はあの子が可哀想であった頃は、私はしてはいけないと思っていたの。ジュスト」
私が隣を歩く背の高いジュストを見上げてそう言えば、彼は何か聞きたそうな表情になった。けれど、聞かなかった。
詳しくは言いたくないことだと、察してくれたのだろう。
「どうやらオレリー様のことは解決出来たようで、何よりです。ミシェル。僕には兄弟は居ませんし、姉妹のことはお二人にしかわかりませんからね」
解決はした。妹オレリーは私に対し、これから我が侭を言うことはないだろう。
これまで何もかも許して来た姉が、もう無条件では許さないと、きっぱり宣言したのだから。