婚約者が病弱な妹に恋をしたので、私は家を出ます。どうか、探さないでください。
「実はミシェルお嬢様が庭師の息子に、辻馬車の乗り方を聞いていたらしいの。あの方が辻馬車に乗ることを考えるなんて、なんだかおかしいわ。だから、もしかしてとは思うんだけど……お嬢様は家出なんて、しないわよね?」
ミシェルが家出するのではないかと心配して、常に彼女の傍に仕える僕に忠告をして来てくれたようだ。
「そんな、まさか! クロッシュ公爵夫人になる未来を捨てて? それはあり得ないと、僕は思います」
損得を単純計算出来る大多数の人ならそう考えると思うだけで、純粋培養貴族令嬢ミシェルは違うかもしれないけどね。
「そうですよね……! 最近、ミシェルお嬢様の様子がおかしいことは間違いないから、ジュストも気をつけて見ておいてくれる?」
「ええ。任せておいてください。僕が傍近くに付いている限り、お嬢様は大丈夫ですよ」
わざとらしく胸に手を当てた僕を見て、メイドは安心したように笑って去って行った。
しかし、これは、間違いなさそうだ。身近な辺りで必要な情報をかき集め、本日、硬貨の両替が出来て準備が整ったから、そろそろ家出するつもりだろう。
ミシェルが一体何処に行くつもりなのか知らないが、そうなれば、僕も手早く遠出の準備でもするか。
ミシェルが家出するのではないかと心配して、常に彼女の傍に仕える僕に忠告をして来てくれたようだ。
「そんな、まさか! クロッシュ公爵夫人になる未来を捨てて? それはあり得ないと、僕は思います」
損得を単純計算出来る大多数の人ならそう考えると思うだけで、純粋培養貴族令嬢ミシェルは違うかもしれないけどね。
「そうですよね……! 最近、ミシェルお嬢様の様子がおかしいことは間違いないから、ジュストも気をつけて見ておいてくれる?」
「ええ。任せておいてください。僕が傍近くに付いている限り、お嬢様は大丈夫ですよ」
わざとらしく胸に手を当てた僕を見て、メイドは安心したように笑って去って行った。
しかし、これは、間違いなさそうだ。身近な辺りで必要な情報をかき集め、本日、硬貨の両替が出来て準備が整ったから、そろそろ家出するつもりだろう。
ミシェルが一体何処に行くつもりなのか知らないが、そうなれば、僕も手早く遠出の準備でもするか。