婚約者が病弱な妹に恋をしたので、私は家を出ます。どうか、探さないでください。

08 許されない

 私が家出からサラクラン伯爵邸へ帰って来てからは、誰しも思う通りの展開になった。

「クロッシュ公爵家の……ラザール様と婚約解消して、ジュストと婚約したい……だと?」

「そうよ。そうしたらすべて上手くいくわ。お父様。だって、別にラザール様の婚約者は私とオレリー、どちらでも良いはずでしょう?」

 お祖母様たちの約束はそれで果たせるのだから、それで何の問題もないと思う。

「それが……こんな今更、許される訳が、ないだろうが!! ジュスト。幼い頃からこれまでお前をここに置いてやった恩も忘れて……荷物を纏めて、さっさと出て行け! もう顔も見たくない!!」

 これまで黙って隣に座って居たジュストを怒鳴りつけたので、私は驚いた。まさか、すぐに彼をサラクラン伯爵邸から追い出すなんて、思いもしなかったから。

「お父様! やめて! ジュスト……! ジュスト……?」

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