婚約者が病弱な妹に恋をしたので、私は家を出ます。どうか、探さないでください。
実はメイドの噂話を立ち聞きしたからだけど、それを私がお父様に言えば、この邸から何人もメイドがいなくなってしまうことはわかっていた。
人の好いお父様だって使用人を雇用している立場があるし、甘い顔をしてはいけないと理解しているからだ。
私は無言でお父様と見つめ合い、観念したかのように大きく息をついたのは、お父様の方だった。
「とにかく、お前は頭を冷やしなさい。ミシェルが家出して居なくなったと聞いて、大変な騒動になった。三日目にジュストからお前を見つけたので連れ帰ると早馬の手紙が届いた時は、皆がどれだけ安心したことか」
「はい……ご心配をかけてしまって、ごめんなさい」
そのことについては、私が何度も謝るしかない。けれど、貴族であることもラザール様の婚約者である事も捨てようと思えば、そうするしかないと思った。
そこまで思い詰めての家出だったのだから。
「あれを知ったのなら、お前がこうして家出した理由も理解した。だが、お前たちには主従としての距離感はあるようだったし、ジュストが貴族の身分を得ようとするほどお前に本気だとは知らなかった。出て行って貰う以外はない」
人の好いお父様だって使用人を雇用している立場があるし、甘い顔をしてはいけないと理解しているからだ。
私は無言でお父様と見つめ合い、観念したかのように大きく息をついたのは、お父様の方だった。
「とにかく、お前は頭を冷やしなさい。ミシェルが家出して居なくなったと聞いて、大変な騒動になった。三日目にジュストからお前を見つけたので連れ帰ると早馬の手紙が届いた時は、皆がどれだけ安心したことか」
「はい……ご心配をかけてしまって、ごめんなさい」
そのことについては、私が何度も謝るしかない。けれど、貴族であることもラザール様の婚約者である事も捨てようと思えば、そうするしかないと思った。
そこまで思い詰めての家出だったのだから。
「あれを知ったのなら、お前がこうして家出した理由も理解した。だが、お前たちには主従としての距離感はあるようだったし、ジュストが貴族の身分を得ようとするほどお前に本気だとは知らなかった。出て行って貰う以外はない」