婚約者が病弱な妹に恋をしたので、私は家を出ます。どうか、探さないでください。
「……ジュストのお父様が、叙爵されたのは、ただの偶然ですわ。お父様」
ジュストのお父様が功績を認められて叙爵をされたのはただの偶然で、そんな彼が公爵位を持つ未亡人と結婚することになったのも、別にそうしようとしてそうなった訳でもない。
そんな義理の母に気に入られて、彼が従属爵位を授かることになったのも。
「本当にお前は……いや、もう良い。下がりなさい。ナディーヌとオレリーも心配していたから、帰って来た挨拶をするように」
額に手をやったお父様は、まるで私を追い払うかのように手を振った。
……言われなくても!
父に退室することを許された私は慌ててさっき出て行けと言われた通り、部屋を出て行ったジュストが向かったはずの、使用人たちが住む三階へと向かった。
二階から階段を上がろうとした時に窓を何気なく見れば、旅装のジュストは既に外に居て大きな鞄ひとつをその手に持っていた。
「……え。ジュスト!?」
窓から自分を見る私に気がついたのか、ジュストは片手を振って爽やかに微笑んでいた。
そして、さっき私たちが乗って帰って来たはずの馬車へとあっさり乗り込んで行った。
ジュストのお父様が功績を認められて叙爵をされたのはただの偶然で、そんな彼が公爵位を持つ未亡人と結婚することになったのも、別にそうしようとしてそうなった訳でもない。
そんな義理の母に気に入られて、彼が従属爵位を授かることになったのも。
「本当にお前は……いや、もう良い。下がりなさい。ナディーヌとオレリーも心配していたから、帰って来た挨拶をするように」
額に手をやったお父様は、まるで私を追い払うかのように手を振った。
……言われなくても!
父に退室することを許された私は慌ててさっき出て行けと言われた通り、部屋を出て行ったジュストが向かったはずの、使用人たちが住む三階へと向かった。
二階から階段を上がろうとした時に窓を何気なく見れば、旅装のジュストは既に外に居て大きな鞄ひとつをその手に持っていた。
「……え。ジュスト!?」
窓から自分を見る私に気がついたのか、ジュストは片手を振って爽やかに微笑んでいた。
そして、さっき私たちが乗って帰って来たはずの馬車へとあっさり乗り込んで行った。