婚約者が病弱な妹に恋をしたので、私は家を出ます。どうか、探さないでください。
「いえ。こちらに移り住む予定なんです。良いところだと、ある人から聞いていて……」
そうよ……もしかしたら、この人ともご近所になるかもしれないし、愛想良くしておく方が良いわよね。
「ええ。その通り、良い村ですよ……その大きな鞄、お嬢さんには、重いでしょう。良かったら、僕が持ちましょうか?」
親切な言葉に頷いて、私は彼に荷物を手渡そうとしたところで、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
「はいはい。楽しい家出は、そこまで。荷物渡したら、そいつは走り出します。そうすれば、貴女はお金を盗まれて一文無しですよ。ミシェルお嬢様。見事に、全部外しましたね」
「……ジュスト!」
やけに楽しそうな声が聞こえた方向を見ると、そこに居たのは、私専属の護衛騎士ジュスト・リュシオール。茶色い巻き毛に同色の垂れ目。可愛らしく整った顔つきで優しそうに見えるけど、実は真逆の毒舌家。
あと、仕えているはずの私のことを揶揄って遊ぶのが、とても好き。
「チッ……!」
そうよ……もしかしたら、この人ともご近所になるかもしれないし、愛想良くしておく方が良いわよね。
「ええ。その通り、良い村ですよ……その大きな鞄、お嬢さんには、重いでしょう。良かったら、僕が持ちましょうか?」
親切な言葉に頷いて、私は彼に荷物を手渡そうとしたところで、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
「はいはい。楽しい家出は、そこまで。荷物渡したら、そいつは走り出します。そうすれば、貴女はお金を盗まれて一文無しですよ。ミシェルお嬢様。見事に、全部外しましたね」
「……ジュスト!」
やけに楽しそうな声が聞こえた方向を見ると、そこに居たのは、私専属の護衛騎士ジュスト・リュシオール。茶色い巻き毛に同色の垂れ目。可愛らしく整った顔つきで優しそうに見えるけど、実は真逆の毒舌家。
あと、仕えているはずの私のことを揶揄って遊ぶのが、とても好き。
「チッ……!」