婚約者が病弱な妹に恋をしたので、私は家を出ます。どうか、探さないでください。
「お嬢様は一生、僕の大事なお嬢様なんです。貴女をこの手にするために、これまで生きて来ました」

「……やっぱり、ジュストのお父様を叙爵されるように仕向け、フィオーラ様と結婚させたのも、貴方なの?」

 ナディーヌお母様は絶対にジュストの仕業だろうと断言していたし、私もお父様のことが書かれた新聞記事を見てから確信していた。

 ……きっと、ジュストがそうなるように手を回したんだろうと。

「……お嬢様は僕が思っていたよりも、鋭い名探偵なんですね」

 間近にあるジュストの可愛らしい顔が苦笑いをして、やっぱりこれはそうなんだと思った。

 ……それでは、きっと……これも、そうだわ。

「それに、オレリーの病の特効薬を、お父様が開発されたこともそうなのでしょう? ……ねえ。ジュスト。少しだけ……怖くなる。これって、私と一緒になるために、全部貴方がしたことなの?」

 私の傍に澄ました顔で常に居てくれた護衛騎士ジュストは、ここまで来るためにどれだけの犠牲を払ったのかと思うと、少しだけ怖くなる。

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