婚約破棄したいのに、天才華道家の独占愛に火を付けてしまったようです。
本気を出すガーベラ
「菜花、誕生日おめでとう!」
「ありがとう」
三月一日、菜花は二十六歳となった。
バースデーランチに誘ってくれたのは高校時代からの大親友・芥子田雛乃。
現在は弁護士をしているキャリアウーマンだ。
「はい、プレゼント」
「ありがとう! 開けてみてもいい?」
「どうぞ」
雛乃からのプレゼントは、菜の花を模ったピアスだった。
「かわいい!」
「これ見た時、絶対菜花だ! って思ったんだよね」
「ありがとう」
早速今付けていたピアスと交換した。
「めっちゃかわいい。似合ってる」
「すごく嬉しい。ありがとう、雛乃!」
「今日の格好にもよく似合ってるよ。紅真さん、見惚れちゃうんじゃない?」
「っ、それはないと思うよ……」
今日の菜花は温かみのあるイエローのワンピースを着ている。
シンプルなデザインだが、レイヤーになっているスカートは揺れるとかわいい。ここぞという時に着るお気に入りのワンピースだ。
ヘアメイクも気合いを入れた。髪を丁寧に巻いてゆるく捻り、ハーフアップにしている。
アイシャドウもイエローで合わせ、キラキラのラメで潤んだ目元を演出してみた。
「会った時びっくりしたんだから。なんかめっちゃ美人な子いる! と思って。そしたら菜花だった」
「やめてよ」
「楽しみだね、紅真さんとのディナーデート」