婚約破棄したいのに、天才華道家の独占愛に火を付けてしまったようです。


 いつの間にかシャツのボタンを全て外され、小振りな胸がこぼれ出ると思わず両手で隠してしまう。


「どうして隠すの?」
「だって……」
「見せて」


 腕を掴まれ、まだ下着を付けているとはいえ隠していた胸が顕になり、恥ずかしさに瞳が潤む。


「あんまり見ないで……」
「すごく綺麗だよ」
「あっ」


 胸元にちゅうっと吸い付かれ、紅い花が咲く。
 その後器用にホックを外され、下着は取り払われてしまった。
 隠そうとする手に指を絡ませ、ぎゅっと握りしめて阻まれる。


「んっ、あ……っ」


 もう片方の指が突起をいじったりつまんだり、舌で転がされたり。初めて与えられる快楽に何度も身を捩らせた。
 いつの間にか全て脱がされ、生まれたままの姿にされると、更に心臓が規則的に鼓動を刻む。


「っ、紅真くん……」


 既に肩で息をするくらい乱れていたが、どうしてもこれだけは伝えたかった。


「わたし、はじめてだから……うまくできないかも」


 恋人なんてできたことがなく、十六歳で婚約してずっと紅真一筋だった。
 そんな経験があるはずもなく、この先の展開への不安と少しの怖さがある。だけどそれ以上に彼に触れたい、触れて欲しいと強く願ってしまう。


「大丈夫、全部僕に委ねて」
「っ、」
「早く全部僕のものにしたい」


 全身に隈なく口付けを落とされ、普段見えないところにまで口付けられて体中が甘く痺れていく。
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