一途な溺愛が止まりません?!〜双子の姉妹は双子の兄弟にとろとろに愛されてます〜
25、生死の境と聖女覚醒
結婚して五ヶ月、戦争が始まりヴァイスハイトとゲニーが出兵して二ヶ月が経ったある日の朝、ヴァイスハイトからいつものようにデーア宛に手紙が届いた。しかしゲニーからアンジュへは届かず、疑問に思いながらデーアは手紙を開封し読み始め、書いてある内容を見て悲鳴をあげる。姉の悲鳴を聞き、アンジュがデーアの元に駆けつけた。
「デーア、どうしたの?!」
「アンジュ……。落ち着いて聞いて欲しいの。ゲニーが部下を庇って怪我をして、昏睡状態らしいの。今は王宮の治療室で聖女であるシスターのケルン様が看てくれてるみたい。急いで行きましょう」
アンジュは声にならない声をあげ、動転する。デーアは妹を落ち着かせながら、二人で王宮の門の前に転移した。王宮内への転移は禁止されてるからだ。
王宮の門をくぐり、治療室へ急ぐ。治療室に入るとヴァイスハイトはゲニーが寝ているベットの側の椅子に座っていた。近寄ると、ゲニーに治癒魔法を施したケルンが口を開く。
「とても危険な状態です。治癒しきれないほど傷も深く、私の力ではこれが精一杯。……覚悟はしておいた方がいいでしょう」
愛する夫の死を宣告され、アンジュは涙を流しながら意識がないゲニーに抱きつく。側にいたヴァイスハイトとデーアも苦悶の表情をし、今にも泣きそうになっている。
「ゲニーのバカ! 何でこんな怪我するの! 貴方ほどの魔力があれば何とかなったでしょ?! 本当に戦い方下手なんだから! 私を置いていかないでよ! 死んだら許さないんだから!!」
その時アンジュから眩い光が発せられ、その暖かな光がゲニーを包む。すると途端にゲニーの傷や怪我が治っていった。
ゲニーが瞼をゆっくりと開け、上半身を起き上がらせた。愛する人の元気な姿を見てアンジュはゲニーに抱きつく。
「もう、バカバカバカ! 心配させないでよ! 大丈夫? どこも痛いところない?」
「うん。ないけど……僕は大怪我をしたはずだ。今何故ピンピンしてる? ……まさか!!」
「ああ。そのまさかかもしれない。ケルン様、アンジュは聖女でしょうか」
顔が青ざめてるゲニーの代わりに、ヴァイスハイトが聖女であるケルンに問う。
ケルンが真剣な眼差しで四人に向けて口を開いた。
「ええ。アンジュと言いましたね。直ぐに王の側妃に召し上がりなさい。これは国の決まりです」
「待ってください! どうにかならないでしょうか?! 彼女を失ったら僕は死んだも同然なんです! お願いです! どうか黙っててくれないでしょうか!」
アンジュが聖女通告をされ、ゲニーが慌てて訴える。
アンジュ、ヴァイスハイト、デーアもケルンを真剣な眼差しで見つめる。
四人の若き切実な眼差しを受け、ケルンは瞼を閉じた。聖女の力が覚醒し、前の夫である魔法団総帥のレーラー・ムスケルと引き離され、産まれたばかりの我が子とも離れ離れにならなければならなかったことを思い出す。先王が自分たちを引き離し、今度は自分が目の前の青年たちを引き離すのかと運命の残酷さを感じる。そしてケルンは瞼を開け、意を決する。
「分かりました。黙っています。ですが、三年の間だけです。三年経ったら王にお伝えします」
ゲニーはケルンの治癒魔法で回復したこととなり、アンジュが聖女に覚醒したことは伏せられた。
それからクリーク帝国との戦争はゲニーが負傷したが、そのときに首謀者が囚われクリーク帝国の惨敗となり、停戦となった。
今回の戦いの功績が高く、魔法の発展に貢献していたゲニーは魔法団総帥のレーラー・ムスケルから推薦され、王から新しい魔法団総帥に若干十八歳で命じられる。若すぎる史上最年少の魔法団のトップに魔法団の団員をはじめ国民中が驚いたが、ゲニーの名声は既に国中に知れ渡っていて、新たなヒーローの誕生を誰もが祝った。またゲニー自身も類稀なるカリスマ性とリーダーシップを発揮し、魔法団を纏めていく。元々人を惹きつける力はある方だったゲニーには天職で、持ち前の面倒みの良さで、自身の采配により命を取りとめた部下たちから慕われた。同時に魔法団総帥の仕事をこなしながら魔法研究にも力を入れ、その研究もエーデルシュタイン王国だけに留まらず他国も魔法で尽力して奉仕活動を行い、世界各国の王たちからも信頼を得たのだった。
一方ヴァイスハイトも宰相補佐としてめきめきと実力を発揮していき、王も政務に関してヴァイスハイトに頼りきりとなる。補佐であるが実質宰相のような仕事を続けていたヴァイスハイトが職に就いて二年が経った時、王から宰相にと王命が下った。僅か二十歳での歴代最年少の宰相誕生に国中が驚愕した。若い才ある芽を潰そうと権力を行使しようとした者が沢山いたが、ヴァイスハイトには通じず手当り次第逆にその機転の利くスマートな頭脳によって潰されていく。その容赦がないありさまと頭がずば抜けて切れることから、氷の宰相と周りから恐れられるようになった。
四人はいつものように夕食を囲んだあと団欒という名の睦み合いを堪能していた。
「アンジュ可愛い。大好きだよ。愛してる」
「ふふ、私も大好きだよ。実は今日の夕飯私が作ったんだ! 美味しかった?」
「デーア、今日も綺麗だ。髪がとても良い香りだな。シャンプー変えたか?」
「ヴィーも、今日も格好いいわよ。ええ、新しいのにしてみたの。この香り気に入ってくれて良かったわ」
ゲニーは自身の膝の上にアンジュを乗せ横抱きにし、ヴァイスハイトは右手でデーアの手を取り、頬にもう一つの手を添え、それぞれ愛しの人と睦み合う。
ヴァイスハイトとゲニーたちだけではなく、デーアとアンジュもこの二年で功績を挙げていた。デーアはその語学力の高さを生かし各国との架け橋として活躍し、アンジュは希少価値の治癒魔法だけでは沢山の人を救えないと医学の発展に尽力した。
「デーア、どうしたの?!」
「アンジュ……。落ち着いて聞いて欲しいの。ゲニーが部下を庇って怪我をして、昏睡状態らしいの。今は王宮の治療室で聖女であるシスターのケルン様が看てくれてるみたい。急いで行きましょう」
アンジュは声にならない声をあげ、動転する。デーアは妹を落ち着かせながら、二人で王宮の門の前に転移した。王宮内への転移は禁止されてるからだ。
王宮の門をくぐり、治療室へ急ぐ。治療室に入るとヴァイスハイトはゲニーが寝ているベットの側の椅子に座っていた。近寄ると、ゲニーに治癒魔法を施したケルンが口を開く。
「とても危険な状態です。治癒しきれないほど傷も深く、私の力ではこれが精一杯。……覚悟はしておいた方がいいでしょう」
愛する夫の死を宣告され、アンジュは涙を流しながら意識がないゲニーに抱きつく。側にいたヴァイスハイトとデーアも苦悶の表情をし、今にも泣きそうになっている。
「ゲニーのバカ! 何でこんな怪我するの! 貴方ほどの魔力があれば何とかなったでしょ?! 本当に戦い方下手なんだから! 私を置いていかないでよ! 死んだら許さないんだから!!」
その時アンジュから眩い光が発せられ、その暖かな光がゲニーを包む。すると途端にゲニーの傷や怪我が治っていった。
ゲニーが瞼をゆっくりと開け、上半身を起き上がらせた。愛する人の元気な姿を見てアンジュはゲニーに抱きつく。
「もう、バカバカバカ! 心配させないでよ! 大丈夫? どこも痛いところない?」
「うん。ないけど……僕は大怪我をしたはずだ。今何故ピンピンしてる? ……まさか!!」
「ああ。そのまさかかもしれない。ケルン様、アンジュは聖女でしょうか」
顔が青ざめてるゲニーの代わりに、ヴァイスハイトが聖女であるケルンに問う。
ケルンが真剣な眼差しで四人に向けて口を開いた。
「ええ。アンジュと言いましたね。直ぐに王の側妃に召し上がりなさい。これは国の決まりです」
「待ってください! どうにかならないでしょうか?! 彼女を失ったら僕は死んだも同然なんです! お願いです! どうか黙っててくれないでしょうか!」
アンジュが聖女通告をされ、ゲニーが慌てて訴える。
アンジュ、ヴァイスハイト、デーアもケルンを真剣な眼差しで見つめる。
四人の若き切実な眼差しを受け、ケルンは瞼を閉じた。聖女の力が覚醒し、前の夫である魔法団総帥のレーラー・ムスケルと引き離され、産まれたばかりの我が子とも離れ離れにならなければならなかったことを思い出す。先王が自分たちを引き離し、今度は自分が目の前の青年たちを引き離すのかと運命の残酷さを感じる。そしてケルンは瞼を開け、意を決する。
「分かりました。黙っています。ですが、三年の間だけです。三年経ったら王にお伝えします」
ゲニーはケルンの治癒魔法で回復したこととなり、アンジュが聖女に覚醒したことは伏せられた。
それからクリーク帝国との戦争はゲニーが負傷したが、そのときに首謀者が囚われクリーク帝国の惨敗となり、停戦となった。
今回の戦いの功績が高く、魔法の発展に貢献していたゲニーは魔法団総帥のレーラー・ムスケルから推薦され、王から新しい魔法団総帥に若干十八歳で命じられる。若すぎる史上最年少の魔法団のトップに魔法団の団員をはじめ国民中が驚いたが、ゲニーの名声は既に国中に知れ渡っていて、新たなヒーローの誕生を誰もが祝った。またゲニー自身も類稀なるカリスマ性とリーダーシップを発揮し、魔法団を纏めていく。元々人を惹きつける力はある方だったゲニーには天職で、持ち前の面倒みの良さで、自身の采配により命を取りとめた部下たちから慕われた。同時に魔法団総帥の仕事をこなしながら魔法研究にも力を入れ、その研究もエーデルシュタイン王国だけに留まらず他国も魔法で尽力して奉仕活動を行い、世界各国の王たちからも信頼を得たのだった。
一方ヴァイスハイトも宰相補佐としてめきめきと実力を発揮していき、王も政務に関してヴァイスハイトに頼りきりとなる。補佐であるが実質宰相のような仕事を続けていたヴァイスハイトが職に就いて二年が経った時、王から宰相にと王命が下った。僅か二十歳での歴代最年少の宰相誕生に国中が驚愕した。若い才ある芽を潰そうと権力を行使しようとした者が沢山いたが、ヴァイスハイトには通じず手当り次第逆にその機転の利くスマートな頭脳によって潰されていく。その容赦がないありさまと頭がずば抜けて切れることから、氷の宰相と周りから恐れられるようになった。
四人はいつものように夕食を囲んだあと団欒という名の睦み合いを堪能していた。
「アンジュ可愛い。大好きだよ。愛してる」
「ふふ、私も大好きだよ。実は今日の夕飯私が作ったんだ! 美味しかった?」
「デーア、今日も綺麗だ。髪がとても良い香りだな。シャンプー変えたか?」
「ヴィーも、今日も格好いいわよ。ええ、新しいのにしてみたの。この香り気に入ってくれて良かったわ」
ゲニーは自身の膝の上にアンジュを乗せ横抱きにし、ヴァイスハイトは右手でデーアの手を取り、頬にもう一つの手を添え、それぞれ愛しの人と睦み合う。
ヴァイスハイトとゲニーたちだけではなく、デーアとアンジュもこの二年で功績を挙げていた。デーアはその語学力の高さを生かし各国との架け橋として活躍し、アンジュは希少価値の治癒魔法だけでは沢山の人を救えないと医学の発展に尽力した。