一途な溺愛が止まりません?!〜双子の姉妹は双子の兄弟にとろとろに愛されてます〜

26、新天地

 アンジュが聖女覚醒して二年と半年が過ぎるころ、停戦していたクリーク帝国が停戦条約を破って再度エーデルシュタイン王国に攻めてきた。不意打ちの攻撃は魔法を駆使するエーデルシュタイン王国にも大きな打撃を与え、すぐさまゲニーは最前線に送られる。魔法団総帥であるゲニーだが、それが一番効率いいからだ。ヴァイスハイトは王の政務を支えなくてはならなくて、出兵はせずアンジュたちと共にゲニーの帰還を待つことになった。

 ゲニーは自身の各国の奉仕活動で得たツテを使い、各国から腕の立つ将軍たちを引き連れ、クリーク帝国の兵士をなぎ倒していく。ただ殺生は好まないゲニーと、争いのない世界にしようと想いを馳せるエーデルシュタイン王の命で手間はかかるが、捕らえはしても殺しはせず、なるべく降伏させ牢に入れた。ゲニーの働きにより段々とクリーク帝国の戦力も削がれていき、とうとうクリーク帝国の帝王が自決して終戦となり、停戦を含めた約三年にわたる戦いが終わった。

 クリーク帝国を治める帝王一族がみな自決してクリーク帝国を束ねるものが居なくなり、またその配下たちは牢に入れられたので戦争による飢えに苦しんでた国民たちはほとほと参っていた。そこでゲニーは世界の一国の王であるエーデルシュタイン王に進言する。

「クリーク帝国の跡地に新たな国を作りませんか。この世界の中立国、戦争には絶対介入せず、戦争や紛争による難民を受け入れ、守る国です」

 ゲニーは王に跪き、頭を垂れる。

「王様、ゲニーは適任だと思います。他国の王たちとも親しく、信頼も厚いので上手くやれると思います」

 そうヴァイスハイトも加勢した。

「ふむ。前代未聞だが、国際会議で提案してみよう」

 エーデルシュタイン王は前代未聞のゲニーの提案を受け入れ、各国の王や各地の部族長を呼び寄せ国際会議を開いた。元々戦いに疲弊していた国や、エーデルシュタイン王と同じ志の王など過半数以上の国から賛同を得ることが出来、クリーク帝国は新生中立国家フリーデン王国になりゲニーが統治することになったのだ。そして補佐としてヴァイスハイトが宰相に就いた。

 新たな土地を統治するにあたって国民の士気を高めるために、妻で正妃のアンジュが聖女であることを発表した。もうエーデルシュタイン王国の国民ではないアンジュは王の側妃になる必要はないので、エーデルシュタイン王からはゲニーは食えない奴だと苦笑される。アンジュの聖女の力は規格外で、彼女が治せない傷などないのだが、生死をさまよう大怪我の患者に治癒魔法を使うのは魔力を大量に使うので、それはゲニーたち四人の秘密にすることとした。それを秘密にしてもアンジュの聖なる力は万能で、正妃の政務の隙間で奉仕活動にも尽力し、国民から慕われるようになる。王であるゲニーも、自身の魔法の才能を思う存分発揮し、国民が生活しやすくなる魔法を多くあみ出した。また宰相であるヴァイスハイトも国の法律から税の仕組み、インフラなど、国民が過ごしやすい環境作りの案をゲニーに進言していく。デーアも宰相補佐として、女性であるが故の機転を利かしてゲニーに進言していき、世界初の試みであるフリーデン国の子供なら誰でも無料で通える学校を作るのに多大なる貢献をした。
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