幼馴染[短編]
 でも、唇を押し付けられるだけの
 キスだった気がする。


 あたしはドキドキしていた。

 思いがけないことに。

 彼の唇が離れる。

 彼になんていおうか
 必死に考えていたときだった。


「こんなくだらないことでドキドキしてばかみてー」

 くだらないこと。

 くだらないこと?


 こんなに
 ドキドキしていたのに。

 なんかそれを否定されたような気分だった。

「くだらないことじゃないじゃない」

 といいたかったけど、
 いえなくて

 言葉を必死に飲み込んだ。
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