オオカミ男子のニセ彼女⁉︎
急に、耳元でバンッと音がした。



気付けば私は、月神くんに壁に追いやられていた。



「月神、くん……?」



顔の横にある人間の耳がなくなり、狼の耳と大きなしっぽまで生えた月神くんに一体何が起こったのかわからないまま呆然としていた直後。



月神くんの顔が一気に私に向かって近付いてきた。


「――っ⁉」



ほんの、一瞬の出来事だった。



私の唇に、月神くんの唇が触れている。



はじめてのキスを、こんな形で奪われるなんて。



それから――、


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