オオカミ男子のニセ彼女⁉︎
「そこの2人、何やってんの⁉」



まさか、月神くんとキスしているところを、灰瀬さんに見られてしまうなんて……。



「ちょっと、離れて!」



灰瀬さんはものすごい勢いで私から月神くんを引きはがすなり、彼に向かって大声をかける。



「颯、大丈夫⁉ 抑制剤は⁉」



「トラ、ンク……」



「わかった。部屋の鍵、借りるからね!」



そう言うなり、月神くんのジャケットからホテルのカードキーを取り出して、部屋の中に入って行った灰瀬さんは、ものの十数秒で薬が入った袋と水を注いだコップを持って来て、月神くんに飲ませた。



すると、みるみるうちに月神くんの顔の熱が引いていって、落ち付きを取り戻していく。



だんだん狼の耳と尻尾が少しずつ小さくなって、人間体の月神くんに戻っていった。



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