オオカミ男子のニセ彼女⁉︎

そんな彼女をまじまじと見つめていると、「透山さんは知らなかったの？」と急に質問された。



「知らなかったって……、何のこと？」



「狼男の本能が暴走するって話」



何それ、初耳だ……。



ふるふると首を横に振ると、灰瀬さんは呆れたような、『やっぱりね』とでも言いたげな顔をしつつも教えてくれた。



「この時期、十代を迎えた狼男や私のような狼女は、本能は暴走しがちになるから、定期的に抑制剤を飲まなくちゃいけないの」



「そ、そうなんだ……」



「そうなんだ、って……。こんな大事なことを教えてもらってないって、あなた本当に颯の彼女なわけ？」



まるで本当は事実を知っているかのような灰瀬さんの発言に、私は黙り込むことしか出来ない。



「前から思ってたけど、透山さんって颯の彼女っぽくないんだよね。本当は付き合ってないんでしょ？」