オオカミ男子のニセ彼女⁉︎
「何ぼーっとしてんの? 教室行こっ」



ニコニコと上機嫌な笑顔を浮かべる彼女は、月神くんの腕をつかむなり、教室の中に入ってしまう。



――ズキッ



はぁ……。



私、今のでけっこう傷付いたな。



これってかなりの重症かも。



……なんて、心の中で呟いている場合じゃない。




月神くんへの気持ちを自覚してから気付いたけど、恋ってドキドキしたり、胸の奥がキュンとするばかりじゃない。



心が深手を負うぐらい、立ち直れないぐらい苦しくて、悲しくて。心臓がきりきりするほど切なくて仕方なくなって――……。




月神くんと会わなかったら、こんな思いをすることもなかったのかな――なんて、好きな人との出会いすら後悔してしまうんだ。




「転校しよう……」



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