オオカミ男子のニセ彼女⁉︎
「ねえ」



突然、背後から声をかけられた。



よくよく耳を澄ませると、紅林くんの気だるそうな声とは全然違って、はきはきとした聞き取りやすい声だ。


誰……?



ゆっくりと後ろを振り向いてみる。



すると、暗めのベージュの髪がよく似合っている優等生めいたイケメン眼鏡男子が、好奇心に満ちた目で私たちのことじっと見つめていた。



突然何の前触れもなく現れた彼に、思わず声にならない叫び声を上げそうになったけど、紅林くんに手で口をふさがれてギリギリセーフ。



「ったく、急にびっくりさせないでよ。理人(りひと)……」



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