オオカミ男子のニセ彼女⁉︎
「ねえ、颯。近くで誰かがしゃべってる声が聞こえて来ない?」



まずい。灰瀬さんがきょろきょろし始めた。



さっきの私たちのやり取りが、彼女の耳が聞き拾ってしまったんだ!



慌ててここから逃げ出そうにも、足が地面に縫い付けられたみたいに動けない。



どうすれば……と気持ちだけが焦ってうろたえる最中。



科野くんがパチン、と指を鳴らした。



瞬間、私と紅林くんの体が、空気と同化するようにふっと消えた。



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