オオカミ男子のニセ彼女⁉︎
もし灰瀬さんに私と紅林くんがここにいたのがバレてしまったら、今頃問い詰められていたかもしれない。



「あー、危なかった……」



「ありがとう。科野くん」



ほっと安堵する紅林くんと一緒にお礼を言うと、科野くんは「どういたしまして」とほほ笑んで。



また指を鳴らして、私たちにかけた魔法を解いてくれた。



「ところで、透山明花さんだっけ? 君、本当は人間でしょ」



「えっ⁉」



再び自分の姿が見えるようになった直後、科野くんに正体を見破られて、おどろきのあまり大声を出してしまう。



「何でわかったの……?」



「本当の透明人間なら、この場から走り出そうとする前に、一瞬で姿を消すだろうから」



た、たしかに……。



本物の透明人間に会ったことはないけど、もし自分がそうだとしたら、判断する間もなくパッと透明になるよなあ、と思っていると。



「お前ら、こんな所で何やってんだ?」



「ヒッ‼」



急に頭の上から声が降ってきて、こわごわと顔を上げると――……、



「つっ……、月神くん!」



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