オオカミ男子のニセ彼女⁉︎
いつの間に、月神くんが私たちの近くに来ていて、怪訝そうな顔でこちらをじっと見下ろしていた。



「陰に隠れてコソコソ何をやってるかと思えば……、もしかして盗み聞きか?」



「ちっ、違う!」



悪あがきとわかっていながらも、私は首をブンブンと横に振った。



「私はっ……、私はたまたま紅林くんと一緒にここに来ただけだもん!」



「は……?」



瞬間、この場に気まずい空気が流れる。



「そういや君、月神くんと付き合っている彼女だったよね? 今の発言って……」



ぎこちない笑顔をこちらに向ける科野くんの発言の後。



「流石にまずくない?」



とボソッと呟いた紅林くんの言葉に、完全に空気がピシリと凍り付いた。



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