積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
「ありがと、瑞月ちゃん!大好きよ」

周りに人がいなかったら抱きつきそうな勢いの凛に、私は焦る。

「ちょっと、凛ちゃん。落ち着こうよ」

「あはは、ごめん。瑞月ちゃんの前だと自分を出せて楽だから、つい」

そう言って凛は照れたように笑う。

「買い物が終わったらさ、パンケーキ食べに行かない?付き合ってくれたお礼にご馳走する」

「わ、嬉しい!行きたい!」

私は笑って頷いた。その時、ウインドウに写る自分たちの姿が目に入る。ワンピース姿の私と背の高い綺麗な男の子――。

周りからはどう見えるんだろう?

特に深い意味もなく、私は凛に言った。

「やっぱり私たちって、カップルみたいに見えるのかな?それとも兄妹?」

「そうねぇ、どちらかと言えば、兄妹じゃない?……もしかして瑞月ちゃん、好きな人でもいたりする?もしその子に見られて誤解でもされたら、やっぱりまずかったわよね。安易に誘っちゃって悪かったって、少し反省……」

申し訳なさそうな顔をする凛に、私は肩をすくめて笑った。

「大丈夫だよ。そういう人はいないから。変な気を遣わなくていいよ」

「だったら、いいんだけど……。そっかぁ、好きな人はいないんだ。それならむしろ、お互いにムシよけになってるっていうことでいいのかしらね?」

そう言って凛はくすりと笑った。
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