積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
凜の流れるような言葉を聞いているうちに、先日飲んで忘れようとした時よりも、気持ちがはるかに上向いてきたのが分かった。私は笑う。

「そう言ってもらったら、少し元気が出てきた気がする。それにしても凛ちゃんってば、私のことを買い被りすぎだよ」

「あら、だって事実だもの」

凜はにこりと笑った後、ほんのわずかに眉根を寄せた。

「ところで、瑞月ちゃん。あの後、本当に大丈夫だったのよね?結構飲んでたみたいだったから、気持ち悪くなったりしていないかしらって、心配だったの。一緒にいてあげられなくて、ごめんなさい。瑞月ちゃんを送った後、諒は少しくらい様子を見ていてくれた?それともまさか、すぐに帰っちゃったのかしら?」

私はどきりとし、何気なさを装いテーブルの上に視線を落とす。従兄の顔を直視できなかった。

「え、あ、うん。あの、大丈夫だったよ。そこまでの状態にはならなかったから、諒ちゃんも別にそこまでは……」

たどたどしい口調でそこまで話したところで、脳裏にあの夜のことが浮かび上がり、耳の辺りがカッと熱くなる。

あの晩、結局私は最後まで諒に抗えなかった。一度ならず再び彼に抱かれることを許してしまい、痴態を晒してしまった。そんな恥ずかしいことを、それこそ身内の凜には知られたくなかった。

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