積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は想いを秘め続けていた〜
 諒は腕を組んで考え込む。

「郵便受けに直接入っていたってことは、瑞月のことを当然知っているってことだよな。そして俺たちの関係も知っている……。このことを知っている、あるいは気づいているのは……」
「栞以外にはまだ誰にも言っていないよ」
「そうだとすればやっぱり俺関係か……。入院中、看護師長に瑞月のことを紹介しただろ?あの後結局、病棟のナースたちにも知られることになったんだよな」
「そうなのね」
「あえてそうなるように仕向けてたところはあったから、そういう意味では成功したことになるけど、やっぱりさ。にやにやした顔されるとやりにくいな」

 苦笑する諒に私も苦笑で返す。

「そしてその話はきっと、外来のナースにも伝わったはずだ。となると、受付の彼女も耳にした可能性は高い」
「なるほど……。だけど、私の住所はどうやって?」
「想像だけど……」

 諒は前置きをして続ける。

「彼女の仕事は整形外来の受付だ。退院した後、お前、何度か俺の診察を受けに来ただろ?その時も受付にいたはずだ。お前より少し年上くらいで、細めの銀のフレームの眼鏡の女性。背中辺りまでの長い髪を、後ろで一つにまとめている人だ」

 宙を見つめながら私はその時の受付の様子を思い浮かべる。

「……言われてみれば、受付の人、そういう感じだったわ」
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