積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は想いを秘め続けていた〜
 私の心配を察した諒は言う。

「おじさんとおばさんには、俺の部屋に泊まることは黙っていた方が無難だろうな。でもせめて、付き合っているっていう報告はしておいた方がいいかな」
「もう?早くない?」
「早くもないだろう?一応のプロポーズもしてあるんだから」
「それはまぁ、そうなんだけど。なんだか色々と急展開だから……」
「今がそういうタイミングっていうだけだよ。ということで、瑞月の予定が大丈夫なら、来週にでも実家に行かないか。今度の土日は久しぶりにまとめて休めるんだ。それで、その後にプロポーズの仕切り直しをさせてほしいんだ」

 私は目を瞬かせた。

「私はこの前ので十分よ」
「俺がちゃんとしたいの。瑞月の思い出に残る日にしたいから」
「諒ちゃんがそう言ってくれるなら……」
「明日にでもおばさんに電話しといてよ。来週行くからって。俺もうちに連絡しとく」
「分かった。……ねぇ、私たちが一緒にいるのを見たら、やっぱりみんな驚くかな」
「どうだろうな。でも大丈夫だよ、きっと」

 驚いたとしてもきっと祝福してくれるはずだと、私と諒は両親たちの様子を思い描いて笑い合う。

「とにかくだ。俺の部屋に来たら、仕事が終わったら真っすぐ帰ってくるんだぞ」
「買い物はどうしよう」
「そんなもの、ネットスーパーとかあるだろ。それを使えばいいじゃないか。俺が買って帰ってもいいわけだし」
「なんだか、申し訳ないような……」
「リスクはできるだけ少ない方がいいだろ」
「分かった。それじゃあ、しばらくお世話になります」
「よし、決まりだ。明日仕事が終わったら迎えに来るから、それまで荷物を用意しておいて。そのまま俺の部屋に行こう」
「うん」

 頷いてから私はため息をつき、諒を見上げた。
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