積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は想いを秘め続けていた〜
――だってあなたたち、結婚するんでしょ?お母さんは、あなたが諒ちゃんと一緒にいてくれた方が安心できるのよね。
「お母さんって、そういうのは反対派かと思ってたよ」
――そうねぇ。前はそう思っていたけど、ほら、この前あんなことがあったでしょ。それにお相手が諒ちゃんなら、と思うわけよ。お父さんも、最初は複雑そうだったけど、諒ちゃんならその方が安心だ、って言ってたのよ。まぁ、諒ちゃんのお家の方でどう考えているかは別だけどね。
「じゃあ、そのことも諒ちゃんと考えてみようかな」

「諒の実家でどう考えているかは別」という母の言葉に、すでに一緒に住んでいるような状態だと打ち明けるのは、彼と相談してからの方がよさそうだと思う。とは言え私の両親に関しては、正直に話したとしても頭ごなしに反対される可能性は低そうだと安心する。

――それじゃあまたね。諒ちゃんによろしく言っておいてね。
「うん、伝えとく。もう一緒に住んでもいいよって、お母さんたちが言ってたこともね」

 電話を切ったとほぼ同時に、廊下の向こうから私を呼ぶ諒の声が聞こえた。
 何か用かと慌てて寝室を出て行くと、湯上りの諒が私を見てほっとしたように頬を緩めた。

「寝室にいたのか。姿が見えないから、どうしたのかと思ったよ」
「お母さんから電話があってね、色々とバレたらまずいかなと思ったから、向こうで話をしていたの」

 諒は私の肩を抱きながらリビングへ向かう。

「バレるって、一緒に住んでることか?」
「うん。ところがね、うちのお母さんたら何て言ったと思う?意外なことに、一緒に住んだら、だって」
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