積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
「信じてくれていいんだ」

「え?」

訊き返す私に、諒はさらに言葉を重ねた。

「あれは本当のことなんだよ」

「……本当の、こと?」

私は諒の顔をぼんやりと見上げた。頭が追いつかない。

「お前の元カレに言ったことは、全部俺の本当の気持ちだってこと」 

私は頭を振る。

「嘘だ……だって今までそんな素振り……」

「嘘じゃない。信じて」

「そ、それなら、恋人役の話は、何?」

「あれは半分本気、半分嘘」

「どういう意味?」

「付きまとわれてるのは本当のことで、だから恋人の振りをしてほしいって言うのは嘘じゃない。だけど本音では、そうやって周りから固めてしまって、瑞月を俺の本当の恋人にしたいと思ってた」

「どうしてそんな、回りくどいこと……」

すると諒は不貞腐れたように言った。

「だって、仕方ないじゃないか。お前は今までずっと、俺を男として見ていなかっただろう?だからせめてお前が俺を意識してくれるまでと思って、ずっと待ってたんだよ」

「そんな……」

「なぁ、瑞月、今のお前の目に、俺はどう写ってる?やっぱりまだ、兄貴のような幼馴染のままなのか?それとも……」

諒はそこで言葉を切り、答えを求めるように私をじっと見つめた。

私は躊躇し、言葉に詰まった。

最近になって気づいてしまったこの想い。隠そうとしていたけれど、正直に言ってもいいの?それを諒は受け入れてくれるということ?
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