積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
「じゃあさ、瑞月」

「なぁに?」

諒が肘をついて半身を起こした。

つられて起き上がろうとした私を、諒は止める。

「もう一回、していい?」

そう訊ねながら、諒は私の胸の先端を指先でもてあそぶ。

「んっ……。でも……。もうそろそろ帰った方がいいんじゃない?」

「だめ?」

言いながら、諒はその指を下腹に向かって下ろしていく。脚の間にそっと触れられて、私はびくりと体を震わせた。

「だって、もう……んんっ」

諒が私の唇を塞ぐ。

「はっ……」

彼の唇が離れた隙に息継ぎをする私を、彼はじっと見た。

瞳の奥に飢えたような揺らめきが見えた気がして、どきりとする。

「何年分ものお前への想いが今日やっと実ったんだ。さっきの一回だけで伝えきれないし、愛しきれないんだよ」

「だからって、ひと晩にそんなにしなくても……」

私はじりじりと諒から体を離そうとしたが、がしっと腕をつかまれた。

「でも、あの夜は一回じゃすまなかったじゃないか。瑞月だってあんなになってさ」

あの夜――。

それを言われて、私はかぁっと頬が熱くなった。確かにあの夜はそうだったけれど、それはお酒のせいもあったと思うし……。

「そう言えばさ、聞きたかったんだけど」

「な、何を?」

「俺を意識し出したきっかけって、何?」
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