積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
諒は腕を組んで私を見下ろした。

「俺には言えない話か」

「言えないというか、私からは言いにくいというか」

「……分かった。じゃ、今度直接、高山に聞くことにする」

「うん。きっと、そうした方がいいと思う」

諒の言葉に私はほっとした。ほっとしたついでに、さっきからずっと気になっていたことを聞いてみたくなった。凜に対して、諒がどうしてあんなに不機嫌な態度を取っていたのかを。

凛ちゃんはヤキモチだなんて言っていたけど、本当はどうなんだろう―ー。

だけど、諒の顔にはその感情がまだ残っているように見えて、ストレートには聞きにくい。私はこう言ってみた。

「あのね、諒ちゃん。前にも言ったけど、凜ちゃんとも仲良くしてもらえたら、私、嬉しいんだけどなぁ……」

すると諒は、ふっと息をつき肩をすくめてみせた。

「それは分からないな。だって、あいつのこと、俺はまだよく知らないからな。今年から同じクラスになったばっかりだし」

「優しくていい人なんだよ」

唇を尖らせて訴える私に、諒は苦笑を見せた。

「瑞月の親戚なら、仲良くはしたいけどな」

二人の性格、合わないのかな……。

その時は残念に思ったのだけれど、それから割とすぐのことだった。凛と諒が友達になったらしいことを、それぞれの口から聞くことになったのは。

それからは、三人で会うことも増えた。気づけばいつの間にか、栞も一緒になって遊ぶ機会も多くなっていた。大好きな人たちが仲良くなったことは、私にはとても嬉しいことだった。
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