積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜

EP-22

私の入院生活は予定より少しだけ早く終了した。

入院中、新たに何かしらの症状が出ることはなかったし、痛みはまだあるものの、思っていたよりも早く動けるようになったためだ。

退院の可否を判断するために私を診察した諒は、安堵した顔をしていた。

自分の部屋に戻ってからは、三日ほど母が一緒にいてくれた。自分でやるよという私を止めては、細々と世話を焼いてくれた。

「今はこんな時でもないと、瑞月のこと、お世話できないからね」

そう言う母は少しだけ寂しそうで、けれど楽しそうにも見えた。その母も今日の昼過ぎに家に帰って行ったが、最後に話した時に眉根を寄せながらこう言った。

「ねぇ、瑞月。またこんなことがあったらと思うと、お母さん、心配でたまらないのよ。栞ちゃんたちが近くにいてくれるって言っても、一緒に住んでいるわけじゃないでしょ?今、特にお付き合いしている人がいないのなら、こっちに帰って来てもいいんじゃないの?」

「その話は、また今度……」

「まぁね、あなたの都合もあるだろうし、仕事だってすぐにやめられるわけではないだろうから。ただね、そういうことも少し考えておいてね。こっちに帰って来たって働けるでしょ?なんならお見合いしたっていいんだし」

母の言葉を受け入れるようなことは言いたくなかったから、私は曖昧に笑っただけだった。

その夜、栞が訪ねてきた。手には重たそうなマイバッグをぶら下げている。色々と買い込んできてくれたようだ。

「瑞月、その後具合はどう?」

「ありがとう。だいぶ、楽になったよ。とにかく上がって!」

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